島の恵みをいただきます

独自の視点でその魅力を切り取る編集者「セソコ マサユキ」が、沖縄の島の恵みがたっぷりと味わえるオススメのお店を紹介します。

ウミンチュの街・糸満で新たな食文化に挑戦する「糸満漁民食堂」

赤・緑・黄のカラフルな沖縄の魚たち。その見た目から、県外の人には「食べられるの?」とよく聞かれるけれど、沖縄では昔から食卓に欠かせない大事な食材。珊瑚に囲まれた島だからこそ、イノー(珊瑚礁に囲まれた浅い海)でとれる魚から、深海でとれる魚まで、その種類はバラエティに富んでいる。

そんな県産魚のおいしさを伝えているのが、ウミンチュ(漁師)の街として知られる糸満(いとまん)で「糸満漁民食堂」を営む玉城弘康(たましろ・ひろやす)さん。「本当においしい沖縄の魚。より多くの人に食べてもらいたいんです」という玉城さん。提供しているメニューは、古くから受け継がれた食文化に、新しいアイディアを加えたもの。

アツアツの鉄板が“じゅわ〜”っと食欲をそそる音と、芳ばしい香りを立てる「イマイユのバター焼き」はその一つ。イマイユとは沖縄方言で「新鮮なお魚」という意味で、実家の魚屋を切り盛りするお兄さんが、その日の朝セリ市で仕入れた獲れたての魚を調理している。

バター焼きの魚は、上品な白身の「タマン」、高級魚として知られる「ミーバイ」、小ぶりながらも旨みが凝縮された「ビタロー」など、その日の仕入れ状況にもよるが、毎日数種類の中から選べる。
「基本的に沖縄の魚は高タンパクで低脂質。そのままでもヘルシーでおいしいけど、バターや油を加えてさらに旨みをプラスするんです」と語る玉城さん。バターとニンニクの芳ばしい香り、そしてアーサ(海藻)をベースにしたソースが食欲をそそるだけでなく、魚独特の臭みをおさえるのだという。

続いて、港町・糸満のソウルフードとも言える「魚汁」。お湯ではなく、水の段階から煮込むのが糸満のウミンチュ流。糸満漁民食堂ではそんな昔ながらの作り方を残しつつ、新しくアレンジ。水に魚のアラをいれて1時間ほど煮込み、白濁させたものを一度“濾す“というひと手間をかけ、さらにそこへ毎朝とっているという、カツオの一番出しをブレンドさせるのだ。
主役の魚は、汁とは別に調理。事前に蒸し器で蒸すことでパサつかず、ホクホクの状態で提供できるのだそう。魚の旨みが凝縮された汁は、口当たりもマイルドで、これだけでご飯がすすむ一品だ。

その他、白い皿の上で県産魚がドレスを纏ったかのような、うつくしく洋風にアレンジされた前菜は、名物「バター焼き定食」のセットメニュー。サラダ仕立ての刺身はカシューナッツと、春巻きやシュウマイの皮を揚げて刻んだものが入り、魚の柔らかな食感にパリッとした刺激をプラスしている。

また、お店オリジナルの「しびれ醤油」をかけていただくと、花椒(ホアジャオ)という山椒独特の香りと辛味が、あっさりした沖縄の魚によく合う。後からじわりとくるしびれもクセになりそうだ。
 
食堂に訪れるのは、観光客はもちろん、地元の人も多いという。「こんな食べ方もあるんだねえ」と、おいしそうにおじぃ、おばぁが食べていくのだとか。

昔ながらの食文化を、さらに新しいかたちで次の世代へ繋ぐ糸満漁民食堂。沖縄のおいしい魚が、ここにある。

Shop Data

糸満漁民食堂

住所/沖縄県糸満市西崎町4-17

電話/098-992-7277

営業時間/11:30~15:00、18:00~22:00

定休日/火曜日

【くわしいShop情報はこちら】

写真・文 セソコマサユキ

独自の視点で沖縄の魅力を切り取る編集者
公式ウェブサイトはこちら

このページが気に入ったら
いいね!してね

他SERIES

SERIES01 自然食とおやつ mana

SERIES02 ピパーチキッチン

SERIES03 野菜屋 元

SERIES04 ON OFF YES NO

SERIES05 アセローラフレッシュ直営店

SERIES06 沖縄第一ホテル

SERIES08 笑味の店