島の恵みをいただきます

独自の視点でその魅力を切り取る編集者「セソコ マサユキ」が、沖縄の島の恵みがたっぷりと味わえるオススメのお店を紹介します。

伝統料理と、暮らしの知恵を伝えつづける「笑味の店」

「カレーを食べたからまた来ましたって言われても、その時にどんな食材を使ってたかわからなくて困っちゃう。もう“まかちぃくみそーれ”というしかないよね〜」と、やわらかい笑顔で語る金城笑子(きんじょう・えみこ)さん。笑子さんは、長寿の村として知られる、本島北部・大宜味村(おおぎみそん)で「笑味の店」を営んでいる。

“まかちぃくみそーれ”とは、沖縄の方言で「おまかせください」という意味。そのとき旬の食材を、その日使う分だけ収穫して提供したい・・・ 27年前にお店をはじめてから、そのスタイルを貫くなかで行きついた言葉だという。同じ料理であっても、季節ごとに使われる食材は変わってくる。だからいつも、笑味の店ではあたらしい味との出会いがある。

この日の「まかちぃくみそーれランチ」はこちら。パパイヤの炒め、ラフテー、ニガナの白あえ、ジューシー(炊き込みご飯)、人参しりしりなど、沖縄料理のスタンダードメニューから、モーイ(海藻)豆腐という大宜味村の伝統料理や、タピオカやシナモンのアンダギー(揚げもの)など、アレンジのきいた品々が並ぶ。

「何よりも楽しみながら料理をし、提供すること」 メニューの但し書きにある通り、人参しりしりには、この時期とれるニンニク葉が入っていたり、ジュージーはウコンで色付けをしていたり。定番の沖縄料理のなかにも季節の野菜や、笑子さんのアイディアが隠されているから、一口一口が新鮮なのだ。

ミカンのように添えられたデザートは、笑子さんの畑でとれたシークヮーサー。沖縄の食卓では緑色の果実をレモンがわりによく使うのだが、こちらは酸味はほとんどなく、そのまま食べても甘くてみずみずしい。黄色く熟していることから「クガニ(黄金)」とも呼ばれ、冬の時期に食べられるのだ。

食後は「食べるやんばるフルーツジュース」を。もちろん、ジュースに使うフルーツもその時期畑でとれるもの。この日はドラゴンフルーツ、マンゴー、バナナを主役に、オレンジ色のタンカンを添えて。鮮やかなピンクの発色はスモモのエキス。“食べる”ジュースとあって、ザク切りにしたフルーツが食べごたえ満点だ。

料理で使い切れない食材は、笑子さんのアイディアで加工商品へと生まれ変わる。村のおじぃ、おばぁとも連携して商品化した大宜味産のシークヮーサーを100%使用の「シークヮーサーぽんず」や、サクナ(長命草)、シークヮーサーを練り込んだ「笑味の麺」などは、お土産に買っていく人も多いという。

もともとは名護市(なごし)の出身で、野菜はお店で買う環境で育ったという笑子さん。大宜味村に嫁いでから、村のおじぃ、おばぁが育てる島野菜にひかれ、「この食材を使った伝統料理を次の世代に伝えたい」とお店をはじめたそうだ。

「この村では昔から野菜は買わずに、自分で育てて畑からとってくる。今では畑もやるし、料理もやるし、加工品も自分でつくるし、それが当たり前」。食べるものは自分で育て、収穫し、調理する。余った野菜は、加工するなど保存できるように考える。「笑味の店」から見えてくるのは、その土地で生きてきたおじぃ、おばぁの暮らしそのもの。

だからだろうか。笑子さんの食事は、おまかせできる安心感と、飾らない昔ながらの食の姿にホッとして、自然と笑みがこぼれるのだ。

Shop Data

笑味の店

住所/沖縄県国頭郡大宜味村字大兼久61

電話/0980-44-3220

営業時間/9:00〜17:00

定休日/火曜日、水曜日、木曜日

【くわしいShop情報はこちら】

写真・文 セソコマサユキ

独自の視点で沖縄の魅力を切り取る編集者
公式ウェブサイトはこちら

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